フランス、DV加害者監視強化へ

 

フランス、DV加害者監視強化へ シェルターも1000か所増設

 

 

 【パリAFP=時事】フランス政府は3日、ドメスティックバイオレンス(DV)の加害者に対する監視を強化する法案を発表した。(写真は仏パリでドメスティックバイオレンスの犠牲者の写真や女性に対する暴力を糾弾するプラカードを掲げデモ行進をする女性ら)

 

 エドゥアール・フィリップ首相によると、法案は、加害者による被害者への接近を防ぐために、加害者が有罪判決を受けていない段階でも接近禁止命令を受けていれば、裁判所が監視用の電子足輪の着用を命令できるようにする内容。

 また仏政府は、DV被害者が逃げ込める保護施設(シェルター)を新たに1000か所開設する計画も明らかにした。

 さらにフィリップ首相は、別居している子どもの父親が元妻らを暴行したり脅したりしている場合、父親の面会交流権を差し止める権限を家庭裁判所に与えたり、DVを受けて入院している女性が病院から刑事告訴することを可能にしたりすべきだと訴えた。

 しかし、一部のフェミニスト団体は、今回政府がDV対策に多額の予算を組む計画がないことに対して失望の色を見せた。

 フランスでは、現在のパートナーや元パートナーらに殺害される女性が多く、世論の怒りが高まっている。2017年の欧州連合(EU)の統計によると、フランスは欧州諸国の中でドイツに次いで2番目にDVによる女性の殺人件数が多いという。去年だけでも121人の女性がDV関連で殺害されており、3日に1人が犠牲になっている。また今年現時点でのDV殺人の被害者はすでに少なくとも100人以上に上っている。