更生へ向けた取組のひとつ"気づきノート"

私たち加害更生プログラム参加者は、

グループ参加の都度「気づきノート」というものを提出しています。

気づきノートとは、日々の生活において"感謝したいこと"、"嬉しかったこと"、

"恵まれていると思ったこと"などを少なくとも5つ以上書き留めたものです。

 

私自身はグループに参加した当初この課題がとても苦手でした。

"感謝"、"嬉しい"、"恵まれている"と私が感じるのは

他人から物を貰ったり、褒められたり、あからさまな気遣いを受けたりした場合のみでした。

そのようなことしか思い浮かべることが出来なかったのです。

これは私が欲求充足を他人に求めていたため、心が満たされる感覚が乏しかったのだと思います。

そしてこの他人軸の思考が、自分の心地好さが叶わないという不満を

パートナーや子どもたちにぶつけるというDVに繋がっていました。

 

私自身はこのような思考パターンを変えてゆくための取組のひとつとして

「気づきノート」がとても役立っていると実感しており、

特に次の2点において学ぶことができていると思っています。

 

1つ目は、これまで自分が当たり前だと思っていた日常の出来事が

実はとても恵まれていてありがたいことに満ち溢れている、ということに気づけたことです。

例えば、冬の寒い朝には日陰から日向に出ただけで太陽の暖かさを感じることができます。

これって肌で感じた自然の恵みに対するありがたいという気持ちだったのだ

ということがわかりました。

このようなことが日々たくさんあって、

私たちは自然や周囲の人に助けられて生きていられるのだと思えるようになってきました

。感謝の気持ちを持つことで謙虚さを学ぶことができています。

 

そして2つ目は、前述の例でいうと太陽の暖かさを自分がどのように感じ、

どのような受け止め方をしたのかを言葉にする練習になっているということです。

これは自分の心の声に耳を傾けて何を感じているのかに気づいてゆくということで、

具体的には"寒い朝の通勤時に日陰から日向に出たら、暖かくてホッとした。

"というようなとき、何をどのように受け止めて感じたのか?を探ってゆくことをしています。

「寒いなぁ、駅まで遠いなぁ、でも仕事に行かなくちゃならないよなぁ。」

などと思って"我慢"や"不満"を抱きながら歩いていたかもしれません。

(私はこのよう気持ちで出勤することが多々ありました。)

 しかし、日向に出たときには「あぁ、あったかい。」

と感じて体の強張りが解けて気持ちも上向きになるだろうと思います。

このような自分の感情の機微に気づくことができるようになることも

私は学びになっていると捉えています。

 

自分の思考がいかに外からの影響を受けやすいかということに気づき、

物事を主体的に考えて言葉にすること。

このことが他人とのコミニュケーションを円滑にできるようになる

よい訓練になっていると思っています。

 

気づきノートは、私たちが謙虚さと自分の気持ちを適切な言葉で表現することを学び、

人を傷つける言動を手放して愛ある言動が出来るように変えてゆくための

大切な取組のひとつだと思っています。