"振り返り" で得たこと

加害更生プログラムでは自分の行動は自分で選ぶことができるということを繰り返し学びます。

これは言い換えると他人は私の行動を決めることができないということでもあります。

 

具体的に例えると、「パートナーが延々と私に小言をいうので怒鳴ってしまった」

という言い訳は成り立たないということです。

あくまでも怒鳴るというDVをしたのは私であり、さらに言えばパートナーの小言

を止めることは私にはできないのです。

このような自分が怒鳴るという言動のもととなっている信念や価値観や思考の歪みに気づいて、

自分の行動の選択肢を増やしていくことを学んでいるのです。

 

これらのことについて、グループがお休みの日にひとりで考えたりもしているのですが、

その過程でも新たな課題が見えてきたりします。

それは自分に矢印を向け続けることの難しさです。

怒鳴る以外に何ができるのかをひとりで考えていて妙案が浮かばないとき。

私が思いつく選択肢は小言を聞き流すとか我慢するということくらいでしょうか。

 

そもそも聞き流せるならば怒鳴ることもないので残るは我慢のみ。

そう思い込むと私の思考は自分ばかりが我慢しなければならないという被害者意識を膨らませ、

何故パートナーは小言をいうのだろうと考え始め、一気に矢印が相手に向くことがままあります。

そこでもまた自分が我慢することを選択した(想定のうえとはいえ)にも関わらず、

相手に矢印を向け攻撃するというDVの思考に気づくのですが、

肝心の自分の行動の選択肢を増やすための考察は停止したままです。

このように自分ひとりで選択肢を増やすことの難しさを私はこれまで何度も実感してきました。

 

そこで私は家庭や職場など普段の生活で自分が改めたい行動や思考癖について気づいたときには、

その都度グループで"振り返り"をする時間をいただくことにしました。

振り返りは自分の身に起きた出来事の概要とそのとき自分は何を感じてどう行動したのか。

また、そのとき周囲の人はどんな反応を示して何を感じていたのだろうか。

そのことで自分は何に困っているのかなどについてみんなの前で話をします。

そうすることで出来事を改めて整理して客観的に見ることができやすくなります。

また、先述の例であれば怒鳴ることと我慢すること以外の選択肢が思い浮かばないという

困っていることについてもみんなからアドバイスを受けることができます。

 

このようにして私は振り返りで、数々の自己中心的な思考と行動に気づかせてもらう

ことができました。

グループで学ぶことができる2時間のうちの一部を振り返りをする仲間(私)のために

参加者みんなが快く使わせてくれるのです。

また、私自身も仲間の振り返りを我が身として捉えて一緒に考えることで、

思考と行動の幅が広がりとてもありがたい時間となっています。

自分の内面をさらけ出す振り返りを通して、私はみんなとの連帯感を感じています。

このことも暴力を手放してパートナーや子どもたちと笑顔で話せる関係性を目指している

私の大きな原動力となっているのです。