スタートは、覚悟と後悔のはざまでした

グループで一緒に学んでいる更生プログラムの参加者は、

それぞれにこれまで生きてきた背景があり、

DVを犯してしまったもととなる信念と価値観も様々だと思います。

 

みんな何らかのきっかけにより自分の考えや生き方に疑問を感じてそんな自分を変えたい、

変わりたいと思ってグループに参加していることと思います。

 

私の場合は、あるとき怒りにまかせて部屋のドアを蹴破ってしまい、

その瞬間に自分のしたことを猛烈に後悔し、

自分は怒っているときに行動をコントロールできなくなっているという事実を

目の当たりにしたことでした。

 

この出来事があってから本気で自分の性格を何とかしなければならないという、

藁にもすがる思いでグループに参加しました。

 

初めはDVについて知れば知るほど自分のしてきたことと重なり愕然としたものの、

自分が改めるべき問題点が見えたことに希望を持てました。

そこを改めれば自分は変わることができるとも思えました。

 

それと同時にパートナーと子どもたちを傷つけ苦しめてきた自分の行為を後悔して、

グループで涙することもしばしばありました。

 

自分は変わって二度と暴力を振るうことがないような人間になるんだという思いと、

大切な人たちを苦しめてきてしまった自分のような人間に生きる価値はない

という思いのはざまで、心は大きく揺れ動いていました。

 

私はこのように揺らいでいる自分の内面をグループや個人面談でさらけ出し、

みんなの共感やアドバイスにこれまで何度も勇気づけられてきました。

 

「その気持ちわかる、わかる」

 

「そうだよね、僕もそうだった」

 

と言って、自身の経験と取り組みから得たアドバイスをしてくれる仲間に

何度も心を救われてきました。

 

 

仲間からよく耳にする言葉で

"反省はひとりでもできるが、更生はひとりではできない"

ということを私は身をもって実感しています。

 

自分のDVを悔やんでも悔やんでも時間は巻き戻せないし、

DVが無かったことにはならない。

でも、どうすれば自分が変われるのかがわからない。

 

私にとっては、グループの仲間と一緒に学ぶことがその答えになったと感じていて、

いつも勇気づけてくれるみんなにとても感謝しています。

 

そして、ドアを蹴破ってしまったあのとき、

一歩踏み出して更生プログラムに参加して本当によかったと思っています。