一生の償い

私のDVにより妻が子供たちを義実家に連れて帰ってスタートした別居が、もう1年になる。

 

当初は絶望し生きる意味すら見出せなかったが、たんとに通い、その感情こそが自分本位であり、本当に傷つき絶望しているのは妻であるという当たり前のことに気づくことができた。妻からはもう元には戻れないけれど、私が子供たちの父親であることに変わりはないので子供たちのためを思って生きて欲しいと言われている。

妻も子供たちも私の大切な家族であり、家族の幸せを願っている。そのために自分を変えようとしている。

先日妻と子供たちと会えて幸せな時間を過ごせた。妻を傷つけ、家族での生活を壊した私が憎いはずなのに、子供たちのためにと、こんな機会を提供してくれる妻には感謝してもしきれない。しかし、その際、妻が席を外した一瞬に4歳の娘が私に抱きついてきて耳元で囁いた言葉が忘れられない。

『東京がいい』

声が小さく、最初は聞き間違いかと思った。

『東京で4人で暮らしたい』

そう重ねる娘は、目に涙を溜め体を震わせていた。

私がしてしまった愚かな行動で、愛しい子供たちに一生消えない傷を与えてしまったのだと再認識し、涙が止まらなかった。この子たちが生まれた時、何があってもこの子たちを守り、幸せにしようと誓ったはずのなのに。私がしてしまったことはこの世で一番愚かで、妻も子供たちも、周りの人を不幸にしてしまった。本当に大切なものが見えておらず、自分本位だった。

妻にも娘の発言について伝えたが、別居してから娘は妻に一度もそういった発言はしていなかったそうだ。私たち夫婦に何か事情があり、触れてはいけない事をわずか4歳の娘が察し、家族で過ごしたいという思いを胸に仕舞い込んでいたと思うと、胸が張り裂けそうになる。

私は妻に、子供たちに、一体何ができるのだろう。何をしたら家族が幸せになれるのだろう。正直わからない。正解はないのかもしれない。

それでも、今できるのは自分が変わることだけだから、精一杯変わる努力をしようと思う。一生をかけても償いきれない。妻と子供たちと、これからどんどん関係が希薄になってしまうかもしれない。そうなっても妻と子供たちが幸せなら私も幸せだ。

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