秋田県とナマハゲと僕ら

先日、仕事で秋田県の男鹿市を訪問する機会がありました。

仕事を済ませたのち、現地の方々に私たちが案内されたのは

「男鹿真山伝承館/なまはげ館」でした。

 

ご存知の通り、ナマハゲといえば秋田県男鹿市を中心に伝わる風習で、

奇異な姿に扮した若者が各家庭を巡り、

その年の出来事を振り返り、来年の豊作・繁栄を記念する行事です。

本来は大晦日のみに行っているナマハゲ行事ですが、

伝承館ではその再現を拝見することができました。

 

ナマハゲといえば「悪い子はいねがー!、良くねぇ子はいねぇがー!」と子供を驚かす

シーンが有名ですが、そのシーンは行事の中の一コマでしかなく、

多くはその年の出来事の振り返りと、家族への慰労と、来年への祈念に満ちたものでした。

一方で、一連の流れの中では、個人宅を訪問したなまはげが、

その家庭の誰かの失敗やズル、欠点を暴露するといった一コマもありました。

 

(実際の内容はコミカルさを強く意識していると感じさせるもので、

地元の人に言わせると「地区外の人にお見せするようなものではない」

といった伝統行事であるようです)

 

今回私が秋田県で関与した仕事には、テーマとして「地方創生」が

含まれていたこともあり、その延長で地元の伝統(ナマハゲ)の伝承について

お伺いすることができました。

 

少子化や核家族化、親世代と若者世代との、伝統行事への協力意識の差などもあり、

伝承のハードルが上がっていることに加え、現地の方々が悩みの一つが

外国人や若い人との価値観の差だそうです。

 

具体的にいうと、悪い子はいねがー!、良くねぇ子はいねぇがー!といった驚かしや

訪問先の失敗やズル、欠点を暴露するナマハゲの行為が、

虐待や人権侵害、相手への蔑視、暴力だと指摘されることが増えたとの事です。

 

ナマハゲが世界遺産に指定されたこともあり、外国人の訪問が増えたことで、

そういった、抗議ともとれる指摘が増えているのだそうです。

だからといって、数百年の伝統を変える事は、本人らにとってとても難しい事だと。

 

 

彼らの悩みと、僕らのした事やその後の学びは共通点がある、と思いました。

僕らが躾や教育、あるいは冗談や笑い話だと思ってやってきた事が、

見方が変われば単なる暴力だったし、そう指摘されたし、その指摘は正しかった。

彼らにとって変え難い伝統が、僕らにとっての歪んだ価値観なのかもしれません。

 

これからナマハゲがどうあるべきか、それは当事者たちが選択する事です。

一方で、一心不乱に暴力やそれに類するもの、その元になる価値観を捨て去ることに

集中することができる僕らは、ある意味で彼らよりは悩みが少ない環境にある。

 

そんな見方もできるな、と、ナマハゲ伝承館で思いました。

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 秋田はきりたんぽもハタハタも日本酒も絶品で、すっかり大ファンになりました!

写真は秋田の若者が作り出した新しい伝統である「ナマハゲ太鼓」の1シーンです。

写真は出張ミニライブですが、本格的なステージを男鹿温泉郷で毎晩開催しております!

とてもカッコいいですよ!

 

 

みなさんもぜひどうぞ!

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