
パートナー、子供たちと別居となり、たんとすまいるに参加して1年が経過しました。初めの頃は毎回緊張し戸惑うことも多かったのですが、最近では私の1週間のルーチンとなり、毎回参加することで自分を律し、グループの皆さんからの意見を吸収させていただく貴重な場となっています。この1年間、様々な教材や課題に取り組み、日々を過ごしていく中で、これまで気づかなかったことに気づかされるということが沢山ありました。その中でも私の印象に残っていたものの一つがグループ学習の中でも勧められていた「坂の途中の家」という作品です。
「坂の途中の家」は裁判員制度を題材に、補充裁判員に選出された30代の母親による乳児虐待死事件を担当することとなった2歳の女児を持つ専業主婦を描いた作品です。実はこの作品では主人公に対する夫によるモラハラ・DVが描かれています。表向きではこの夫は、妻のことを良く理解し優しく接してくれる、良きパートナーのような発言をしているのですが、実際には自らの凝り固まった価値観が絶対だと信じて、それを妻に執拗に押し付けてくる夫でした。「妻だから、母親だから、女性だからこうするのが当たり前で、それができないということは人として失格だ」という固定観念に縛られて、主人公である妻はとても生き辛い生活を余儀なくされていました。家庭という環境の中で、相手をおとしめ、価値のない人間のように思わせて、自分の支配下に置きコントロールする。そのような形でしか妻を繋ぎとめておくことができない夫のDV気質が克明に描かれているように私には見えました。
私はこの作品に出てくる夫を見ていて、過去の自分に重なるところがたくさんあり、まるで自分を見ているような感覚に陥りました。恐らくたんとすまいるに参加していなかったらこのような感覚にはなっていなかったと思います。この作品をみて私は、改めて自分のしてしまったことに気づき、パートナーに対してとんでもないことをしてしまったのだ、と感じました。物語の終盤、それまで夫の凝り固まった固定観念に従順であった妻が「私、あなたといるとどんどんダメな母親になっちゃう」と言い、夫と距離を置くことを決めたシーンがとても印象的で、まるでパートナーから言われたような感覚に陥ったのを今でも鮮明に覚えています。
これからはこれまでなんとなく過ごしていた日常の中にも何か新しい気づきがあるのではないかとアンテナを張り巡らせ、自己の成長に繋げられるよう意識していきたいと思います。
写真は藤の花です。本文とは直接関係ありませんが今年の春綺麗だったので撮りました。
3-12