はじめての合同グループ

東京へ向かうのは久しぶりのことでした。

秋の合同グループの案内を知ったとき、京都に暮らす私にとって東京はやはり少し遠く、普段のオンライングループでも十分満ち足りている気がして、参加を決めかねたまま締め切りが近づいていました。けれども、たんとすまいるの仲間に直接会いたいという思いが日ごとに強くなり、最後には心が自然と「行こう」と決断していました。

 

今回の合同グループのテーマはドリームマップの作成。しかし、私自身の「上質世界」が何であるのか、その輪郭をまだはっきりと掴めないまま当日を迎えることになりました。

午前中のワークは、小グループの仲間に自分の欲求や理想を語り合うもの。そこでは飾り立てることなく、自分の内側を差し出すことが求められます。普段のオンラインの二時間では課題によっては必ずしも深い内面を語らなくても済みますが、今回の直に会う対面の場は違いました。仲間が真摯に心をさらけ出し、それに対して即座に耳を傾け、応答する。そんな環境に置かれると、自分自身もまた心の奥を差し出さざるを得ません。

けれども不思議なことに、自分の「上質世界」を言葉にして表現するその行為自体が、すでに前向きな一歩となり、私はこれまで味わったことのない心地よい高揚感を覚えました。驚きでした。それは、おそらく互いに真剣に耳を澄ませることで信頼が生まれ、結果として対話が温かい循環を生んだからなのでしょう。一見あたりまえのことのようでいて、普段パートナーとの間でうまく交わらないコミュニケーションを思い返すと、その価値がいっそう胸に迫ってきました。

 

ランチを挟んだ午後は、いよいよドリームマップの制作に取りかかりました。初めての体験ゆえ戸惑いもありましたが、仲間たちが思い思いに描き出していく姿を目にするうちに、自分の「上質世界」の像が少しずつ浮かび上がってきました。その瞬間から筆は自然に進み、気づけば夢中で完成させていました。

 

そして迎えた発表の時間。仲間一人ひとりの夢を耳にするだけで、不思議と胸が高鳴り、会場全体が熱を帯びていくのを感じました。自分を正直にさらけ出すことへの照れや不安はありましたが、皆が真剣に耳を傾けてくれているとわかったとき、緊張はふっとほどけ、最後まで自分の夢を語りきることができました。

 

偽りのない仲間の夢が、私自身をも前へと押し出してくれる。その気づきこそが、この一日の最大の収穫でした。そして何より、初めて皆さんと顔を合わせ、同じ時間を分かち合えたことが、心から嬉しく、あたたかい余韻として今も残っています。

 

 

※写真は、先日訪れた弘前市にある美術館の、奈良美智の作品です。

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