猫と、DVと、吉本ばななさんのこと

私は猫が好きである。

極めて自由な振る舞いと、常に「今」を生きているかのような姿に癒されると同時に、憧れる部分もあるのが理由かもしれない。

 

10年近く前に、初めて保護猫を引き取った。パートナーが数々の保護猫サイトを半年間見続けた結果、とうとう出会った猫だ。

初めての飼い猫に意気高揚し、様々なおもちゃを買ったがどれも一向に興味を示さなかった。

 

譲渡会では10歳くらいのはずだと聞いていたが、その後2年ほどして病で息を引き取った。

振り返って思えば、10歳どころか、かなりの老猫でおもちゃで遊ぶような好奇心や体力は無かったのかもしれない。

 

その猫とは短い期間しか一緒にいられずとても残念だったが、私のDVがピークにあった頃だったので、パートナーにとっては、夜寝るときに人間のことを寝かしつけに来てくれる猫の優しさに心が救われたことも多々あったかもしれない。

 

 最近、吉本ばななさんがnoteに掲載した記事が話題になった。

病の姉を救うため、母と姉から受けた虐待についてつづった記事を、クラウドファンディングとして有料公開したものだ。

 

吉本さんの著作をほとんど読んだことが無かった私には、それがどれだけのことか分からなかったが、彼女の書籍を数多く読んできた私のパートナーにとっては、「クセの強い家族」くらいに描かれてきた母や姉が、実は虐待の加害者であり、吉本さんが虐待サバイバーだったことに大きな衝撃を受けたようだった。

 

母を切り捨てた吉本さんと異なり、母に服従し「魂が死んだ」姉は、唯一の心の拠り所として猫に執着するようになり、生活も逼迫するほどの多頭飼育は、やがて姉の病につながっていった。

 

私自身も猫と生活しているから、猫になんらかの心の安定のようなものを求める気持ちは理解できるが、度を越したがために自分の生活や健康を危険に晒すというのは、なんとも皮肉なことである。

しかし、そうでもしなければ精神を保てないほどに魂を殺されてしまう、虐待という行為の重みに、自分の行ってきたDVを重ね、なんともやり切れない思いになった。

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