DV加害更生プログラムは人類歴史を変えられるか?

私がDV加害更生プログラムに通って間もなく9年になろうとしています。先日同居しているパートナーから偶然「そういえば、あなたプログラムに通い続けて何年経過するのだっけ?」と尋ねられて、もうそんなに経過するのかと思いましたが、自分の頭髪の白髪の量が時間の経過を物語っているなと感じます(苦笑)。

 

9年弱通い続ける中で、自分の中でこれまでいろんな変化をすることができ、今はパートナーとの関係性は極めて良好で、最近ではパートナーに対して怒りの感情はすっかり湧かなくなり、むしろ今はパートナーがどんなことをしたら喜んでもらえるのか?とかパートナーは今自分にどうしてほしいのだろうか?と考えることが多くなり、衝突することがほとんどなくなりました。パートナーが感情的になっても(今はそんなに感情的になることもないですが)、1歩引いてパートナーがどんな風に思っているのか?を考えられるようになりました。

こんなに穏やかにかつ幸せを感じながら過ごせるようになったのは、たんとすまいるで、たくさんの学びをさせていただき、たくさんの仲間からの支援やアドバイスがあったからこそだと思います。改めて感謝する次第です。

 

さて、ブログを書く順番が回ってきたので(笑)、何を書こう?とパソコンの前に座ったら、たいそうなブログのタイトルを思いついてしまいました(笑)。しかし、最近自分が感じている問題意識とつながる話なので、思い切って書いてみることにしますね。

 

皆さんもご存じの通り、ロシアのウクライナ侵攻は今も継続していてウクライナの人たちは苦しく悲しい思いをしていますし、ウクライナ兵やロシア兵、ウクライナの一般市民にも多数の犠牲者が出ています。プーチン大統領の行為は世界の平和を願う地球市民にとって脅威であり即刻停戦してほしいです。

 

しかし、これまでの人類歴史を振り返ってみると、それは戦争の歴史と言っていいくらいたくさんの戦争を人間は起こしています。こんなに戦争をしてよくこれまで人類は生き残ってきたなと思うくらいです。

 

そして、その戦争が起こる原因の大半は、一部の権力者たちの誤った価値観や考え方で人々を誘導して戦争に発展してしまうことが多いように思います。そして相手を無差別に攻撃して命まで取ってしまう。

 

翻って自分が犯してきたパートナーに対するDVを考えてみると、自分も誤った価値観や考え方で、パートナーに戦争を仕掛けて攻撃しているように感じました。私の場合、命までは取りませんでしたが、DVと戦争には共通点があるように感じているのです。

 

その共通点とは、どちらも人間の尊厳を破壊する行為だということです。

この「人間の尊厳を破壊する行為」という視座に立ってみると、戦争以外でもこれまで人類はたくさんの尊厳破壊をしてきたと言えるのではないでしょうか?

 

現代社会で言えば、電車内での通り魔、学校でのいじめ、教師の体罰、会社内でのハラスメント、SNSでの誹謗中傷、LGBTに対する差別や人種差別など。最近ではアンコンシャスバイアスと言って、本人に悪気はないけど本人が気づいていない価値観からくる言動や行動で相手を傷つけてしまうこともあります。

また過去の歴史を見ると、王様が暴力を使って人を支配し命令に背けば死刑にする、資本家がお金の力を使って労働者を過酷な労働環境で働かせて逃げたら殺す等、人間の目には見えないところで暴力、尊厳破壊をしてきていると言えると思います。

 

以上のようなことを考えた時に、DV加害者は、昔で言えば王様であり資本家であり、両方の立場を使ってパートナーにありとあらゆる暴力やハラスメントをしていると思いました。言い換えれば、これまでの戦争・暴力・尊厳破壊の悲しい歴史をDV加害者が引き継いでしまっているとも感じるのです。

 

その意味で、DV加害更生プログラムはこれまでの人類の戦争・暴力・尊厳破壊の悲しい歴史に何とか終止符を打とうとしているという捉え方もできるのではないかと感じています。自分がDV加害更生プログラムで学んでいることや気付きそして変化は、実は人類のこれまでの悲しい歴史を終わりにさせようとしている行為なのかもしれません。

 

そんなことも頭の片隅で考えつつ、自分がこれからもDV加害更生プログラムを通じて変化をし続けていくこと、そして僭越ながら仲間の変化を支援していきたいと強く感じます。そして、平和で尊厳ある社会になれるよう微力ながら貢献できればと考えています。

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